2009年 第2回WBC ─ 世界一連覇
2009年── この年、野球日本代表は正式に「侍ジャパン」と命名され、新たな時代の幕が開けた。 その名に込められた“誇り”と“覚悟”を、選手たちはプレーで体現していく。
その象徴となったのが、イチローの言葉だった。 「守るのではなく、奪いにいく」── この言葉は、まさにこの大会の侍ジャパンの姿勢そのものだった。
そして迎えた決勝戦。 延長10回、2アウト二塁三塁の場面。 打席には、不振に苦しみながらも信じて起用され続けたイチロー。 カウント2-2から放たれた打球は、センター前へと鋭く抜ける。 勝ち越しの2点タイムリーツーベースヒット。 あの瞬間、東京の夜空に響いた歓声は、ただの得点ではなく、日本野球の魂が世界に届いた瞬間だった。
この一打は、WBCの歴史だけでなく、日本野球の歴史そのものに刻まれる名場面となった。 “奪いにいく”という言葉が、これほどまでに鮮やかに実現された瞬間は、他にない。
侍ジャパンの名のもとに戦った2009年WBC。 その頂点に立った瞬間、チームはただの代表ではなく、“物語を紡ぐ存在”へと昇華したのだった。
🏆2009年 第2回WBC 優勝メンバーとMVPとベストナイン
2009WBC:日本代表メンバー
監督
83 原辰徳
コーチ
63 高代延博
71 山田久志
72 伊東勤
73 緒方耕一
81 篠塚和典
92 与田剛
投手
11 ダルビッシュ有(北海道日本ハムファイターズ)
14 馬原孝宏(福岡ソフトバンクホークス)
15 田中将大(東北楽天ゴールデンイーグルス)
16 涌井秀章(埼玉西武ライオンズ)
18 松坂大輔(ボストン・レッドソックス)
19 岩田稔(阪神タイガース)
20 岩隈久志(東北楽天ゴールデンイーグルス)
22 藤川球児(阪神タイガース)
26 内海哲也(読売ジャイアンツ)
28 小松聖(オリックス・バファローズ)
31 渡辺俊介(千葉ロッテマリーンズ)
39 山口鉄也(読売ジャイアンツ)
47 杉内俊哉(福岡ソフトバンクホークス)
捕手
2 城島健司(シアトル・マリナーズ)
10 阿部慎之助(読売ジャイアンツ)
29 石原慶幸(広島東洋カープ)
内野手
6 中島裕之(埼玉西武ライオンズ)
7 片岡易之(埼玉西武ライオンズ)
8 岩村明憲(タンパベイ・レイズ)
9 小笠原道大(読売ジャイアンツ)
52 川崎宗則(福岡ソフトバンクホークス)
25 村田修一(横浜ベイスターズ)➜ 負傷離脱
5 栗原健太(広島東洋カープ)➜追加招集
外野手
1 福留孝介(シカゴ・カブス)
23 青木宣親(東京ヤクルトスワローズ)
24 内川聖一(横浜ベイスターズ)
35 亀井義行(読売ジャイアンツ)
41 稲葉篤紀(北海道日本ハムファイターズ)
51 イチロー(シアトル・マリナーズ)
基本オーダー
1.右翼手:イチロー
2.遊撃手:中島裕之
3.左翼手:青木宣親
4.三塁手:村田修一
5.指名打者:稲葉篤紀
6.一塁手:内川聖一
7.中堅手:福留孝介
8.捕手:城島健司
9.二塁手:岩村明憲
MVP(大会最優秀選手)
松坂大輔(日本) ボストン・レッドソックス
ベストナイン
投手:松坂大輔(日本)
投手:岩隈久志(日本)
投手:ポン・ジュングン(韓国)
捕手:イバン・ロドリゲス(プエルトリコ)
一塁手:キム・テギュン(韓国)
二塁手:ホセ・ロペス(ベネズエラ)
三塁手:イ・ボムホ(韓国)
遊撃手:ジミー・ロリンズ(アメリカ)
外野手:青木宣親(日本)
外野手:フレデリク・セペダ(キューバ)
外野手:ヨエニス・セスペデス(キューバ)
指名打者:キム・ヒョンス(韓国)
🏆2009年 WBC連覇の立役者たちとその活躍
ダルビッシュ有と松坂大輔──二枚看板が築いた鉄壁の投手陣
2009年のWBCで、侍ジャパンの連覇を支えたのは、圧倒的な存在感を放った投手陣だった。 その中心にいたのが、前回大会MVPの松坂大輔と、若き才能ダルビッシュ有。 経験と勢いを兼ね備えた二人の右腕が、世界の強豪を封じ込めた。
松坂は今大会でも抜群の安定感を見せ、再び大会MVPに輝く。 準決勝のアメリカ戦では、メジャーの強打者たちを相手に冷静な投球を披露し、勝利を手繰り寄せた。 その勝負強さと落ち着きは、まさに“世界を知る男”の風格だった。
一方、ダルビッシュは若さと闘志を前面に押し出し、チームを鼓舞。 決勝・韓国戦ではリリーフとして登板し、最終回のマウンドを託される。 9回に同点に追いつかれる苦しい展開となったが、延長10回の勝ち越し後は見事に締め、優勝の瞬間を自らの手でつかんだ。
さらに、岩隈久志が決勝戦で7回途中まで1失点の好投を見せ、田中将大も随所で存在感を発揮。 この厚みのある投手陣こそが、日本の2連覇を支える最大の武器だった。
村田修一と内川聖一──打線の中核を担った男たち
2009年大会の侍ジャパンは、打線も強力だった。 その中で光ったのが、村田修一と内川聖一の存在だ。
村田は4番打者として、長打力で相手投手陣にプレッシャーを与え続けた。 1次ラウンドでは豪快なホームランを放ち、チームに勢いをもたらす。 しかし、準々決勝のキューバ戦で右太ももを負傷し、無念の離脱。 それでも、彼の存在感は最後までチームを鼓舞し続けた。
内川は、シュアなバッティングで安打を量産。 決勝戦では韓国のエース・奉重根からヒットを放ち、攻撃の起点に。 その確実性と勝負強さは、まさに“職人芸”だった。
青木宣親、稲葉篤紀らも打線を支え、どんな状況でも得点を奪える“切れ目のない打線”が完成。 この攻撃力が、世界の壁を打ち破る原動力となった。
9回裏の奇跡──イチロー、魂の決勝打
この大会最大のハイライトは、やはりイチローの決勝打だろう。
決勝戦は、因縁の韓国との5度目の対戦。 延長戦にもつれ込む死闘の中、10回表、2アウト二塁三塁の場面で打席に立ったのはイチロー。 カウント2-2から放たれた打球は、センター前へと鋭く抜けるタイムリーヒット。 日本に2点をもたらし、勝利を決定づけた。
試合後、イチローは「ここに来るまでに、どれだけの人に支えられてきたか。それを思うと感無量」と語った。 不振に苦しみながらも、最後にすべてを背負って放った一打。 それは、まさに“侍ジャパンの魂”そのものだった。
原辰徳監督──信念と柔軟さを併せ持つ名将
2009年の侍ジャパンを率いたのは、読売ジャイアンツの名将・原辰徳監督。 その采配は、大会を通じて冴え渡った。
村田の離脱後には、栗原健太や中島裕之を柔軟に起用し、チームのバランスを崩さなかった。 また、決勝戦の延長10回にはスクイズの構えで相手バッテリーを揺さぶるなど、心理戦でも一枚上手だった。
そして何より、イチローの不振にも動じず、信じて起用し続けたその姿勢。 その信頼が、あの決勝打を生んだのだ。
原監督の戦略とリーダーシップが、選手たちの力を最大限に引き出し、連覇という偉業を成し遂げた。
控え選手たちの静かな貢献
短期決戦のWBCでは、控え選手の働きも勝敗を左右する。 2009年大会では、控え選手たちの献身的なプレーが光った。
片岡易之は代走として起用され、試合終盤に盗塁で流れを変える役割を担った。 その俊足は、相手チームにとって常に脅威だった。
捕手・城島健司は、投手陣を巧みにリード。 特にダルビッシュとのバッテリーは安定感抜群で、試合を通じて守備の要として機能した。
亀井善行や稲葉篤紀も、限られた打席で確実に結果を残し、チームに貢献。 全員が自らの役割を理解し、全力で果たしたからこそ、侍ジャパンは真の“チーム”として機能したのだ。
2009年のWBCは、日本野球が世界最強であることを証明した大会だった。 エースの奮闘、主砲の一打、名将の采配、そして控え選手の支え── すべてがひとつになったとき、侍ジャパンは再び世界の頂点に立った。
【参考】
【永久保存版】WBC侍ジャパンの軌跡|歴代メンバー・試合結果・名勝負集
★WBCの過去大会の侍ジャパンメンバー/試合結果/MVP/ベストナイン/活躍を紹介
2006年 第1回WBCを振り返って「2006年WBC完全回顧録|侍ジャパン初代世界一の軌跡」
2009年 第2回WBCを振り返って「2009年WBC完全回顧録|侍ジャパン、世界一連覇の軌跡」
2013年 第3回WBCを振り返って「2013年WBC完全回顧録|国内組で挑んだ侍ジャパンの三連覇への挑戦」
2017年 第4回WBCを振り返って「2017年WBC完全回顧録|全勝で駆け抜けた侍ジャパン、世界の壁に挑んだ戦い」
2023年 第5回WBCを振り返って「2023年WBC完全回顧録|大谷翔平と侍ジャパン、世界一奪還の奇跡」
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